例会報告

情報産業エルム会 9月例会の報告

日 時 : 平成28年9月26日(月)18時30分から
場 所 : 札幌市東京事務所(有楽町東京交通会館3階)

 北海道大学川村教授をお招きし、講演をしてもらいました。
 テーマは「人工知能のインパクトとこれからの未来」と題し、人工知能に関する最先端の情報を分かり易く、ご説明して頂きました。 講演の概要は以下に記載しますが講演後の質疑応答も活発に行われ、参加者にとっても関心の高い内容となりました。
 川村教授は講演後の懇親会にもご参加頂き、個別の質問にも対応して頂き充実した例会となりました。

【講演】
川村秀憲 氏(北大工学部情報科学院教授)

【テーマ】
「人工知能のインパクトとこれからの未来」

【講演概要】
 人工知能は1960年代の第1次ブーム、その後の第2次ブームを経て、現在の第3次ブームは人工知能の歴史におけるブレークスルーとなっている。 身近な話題としては今年3月にグーグル傘下の会社が開発した囲碁の人工知能(AI)「アルファ碁」と、世界で最も強い棋士の一人、韓国の李セドル九段が対局し、アルファ碁が4勝1敗で圧勝。 このブームの背景には以下の技術革新が大きく寄与している。

@ビッグデータを活用した機械学習の精度向上
AGPU(グラフィックプロセッサ)の進歩
Bディープラーニング技術の誕生

 人工知能には大別して次の二つのタイプがある。
【強い人工知能】:知能を持つ機械
【弱い人工知能】:人間の知能の代わりを一部する機械

 現在世の中で話題になっているのは『弱い人工知能』の分野であり、実用化に向けて多くの試みが行われている。
・ゲーム : 囲碁
・社会情勢の予測: EU離脱の結果を予測した
・医療診断 : IBM社のWATSONによる医療診断
・自動運転 : グーグルカー ・etc.

 上記は海外での動向であるが、日本でも国立情報学研究所が「ロボットは東大に入れるか」という研究プロジェクトを2011に立ち上げた。 現時点で東大への合格レベルはまだ遠いが、全大学の6割にあたる474大学の1094学部で、合格の可能性が80%以上と診断される「優等生」に成長している。 現在の『弱い人工知能』の発展は『強い人工知能』を生み出す原動力になる。 そして『強い人工知能』 が実用化されるのはこれから先の話となるが、以下の課題を克服しながら人間社会との共存を描くことになる。

・人間の仕事を人工知能が行う事による雇用に与える影響
・人間の仕事を人工知能が行う事による問題発生時の法的責任
・人類の平和、安全を前提とした人工知能における倫理観の確保

以上

講演の様子

【その他】
4、新入会員自己紹介、会員からの情報提供
5、懇親会(同じフロアのジュンで)